湯神社及び初子祭について

湯神社及び初子祭について

昔書いたレポート資料のまとめと備忘録。

湯神社

概要

湯神社の現在の所在地は愛媛県松山市道後湯之町4-10である。
ただ、創建時期は不明だが当初は今の場所(冠山かんむりやま)にあった訳ではなく鷺谷(さぎだに)というところの大禅寺の前にあったとされている。また、この神社に祀られている二柱である大己(オオナム)貴命(チノミコト)(大国(オオクニ)主命(ヌシノミコト))と少彦名命(スクナヒコナノミコト)は道後温泉の起源譚において道後温泉を発見した神とされている。

来歴

湯神社の来歴には様々な説があるようだが、『日本歴史地名体系 39 愛媛県の地名』には、

「冠山にある。大己貴命・少彦名命の二神を祭祀する。創建当時は鷺谷の大禅寺の前にあったという。同じ式内社の出雲(いずもの)(おか)神社は(クシ)稲田(ナダ)姫命(ヒメノミコト)すなわち素戔鳴命(スサノオノミコト)の妃で 大己貴命の母を祭神とし、冠山にあった。湯神社が微衰した時、出雲崗神社の本殿に合祀された。ところがいつの間にか本殿が湯神社となり、出雲崗神社は江戸時代初期に境内の一小祠に移されて祀られることになった(大日本史、愛媛面影)。」

とある。
また、『伊予見聞録 Vol.18(『松山百点 vol.184』収録)』によると、湯神社の祭神である二神、大己貴命・少彦名命による道後温泉の起源、湯神社の祭神となった理由は、

「昔々、このお二人の神様が、出雲の国から伊予の道後のあたりを巡られた折り、突然少彦名命が気を失われた。大国主命が何か治す手だてはないものかと考えておられると、湯気の立つ沼に足に傷を負った白鷺が何度も出たりはいったりしている。そこで、大国主命が少彦名命を手の平にお乗せになり、湧き出る湯に温められると病は平癒したという。これが道後温泉の発見であり、この二神が温泉の守護神とされる謂れである。」

と記載されている。

そして、史実として残る神社の詳細は『全國神社名鑒(めいかん) 下巻』に

「由緒=延喜式内(えんぎしきだい)伊予(いよの)(くに)温泉郡(おんせんぐん)湯神社で景行(けいこう)天皇が当社を建て、湯地の主としたといわれる。上古は湯の岡穂の木に鎮座。大永七年国司河野通直(みちなお)が出雲崗神社へ移し、併せて湯月大明神と称した。元禄年間それぞれ旧号に復し、宝永五年旧藩主より別社を建て奉斎したが、明治四年湯神社と相殿に奉斎した。旧県社。」

とある。
また『愛媛県神社誌』には、醍醐天皇が延長五年に勅撰された延喜式五十巻の内の第九・十巻の神名帳に登録された神々が奉斎されている神社(式社・式内社)として、愛媛県内の二十四社のうちの由緒ある古社の一社に、

○式内社(中略)○温泉郡四座(大一座 小三座)(中略)湯神社 松山市道後湯之町冠山」

と記載されている。

初子祭(はつねさん)

来歴

初子祭の起源・来歴について、『角川日本地名大辞典 38 愛媛県』には、

「当社では、古くから初子祭が11月の子の日に盛大に行われた。その起源は、 大己貴命が鼠に救われたという「古事記」の古伝説から、いつしか鼠を十二支の子に結びつけたことに基づいたのであろう。陰暦の11月が子の月に当たるので、この月の初めの子の日を選んだと思われる。」

と記載されており、また『愛媛県百科大事典 下巻㋜〜㋻』には、

「一月十五、十六の両日に行われる初子祭は、江戸時代から続いているもので、商売繁盛、家内安全を願う多数の参拝客で賑わう。」

と記されていることから、由来としては「古事記」に基づおり、現在の形になっていったのは江戸時代の頃と推測される。
また現在では、初子祭が行われるのは成人の日とその前日となっており毎年日付が変わる。

概要

  • 餅撒き
    「縁起の餅撒き」とされ、餅を「福」と見立てて投げられた餅をつかむことによって、その年一年の幸福などを祈るとされていまる。
    この餅撒きは、催事中の二日間に数回行われる。

  • 神符(守札)焼上祭 (どんと焼き)
    主に、全国的には左義長(さぎちょう)等と呼ばれるものです。
    一年間使用した御守や御札(正月飾りなども含まれています。)に火切金で火花を飛ばし火を付け焚き上げます。
    また、この火で焼いたお餅を食べると「無病息災」になると言われています。また、一般的には「どんと焼き」と呼ばれているので歳神様を祭る慣わしが主体的にあった出雲方面の風習がルーツと考えられます。

  • 福引
    元々は神託的な意味合いを持っており、年始に、二人が餅を引っ張り合ってそれがどのようにちぎれるかを見てその年の吉兆を占ったのが始まりと言われている。

  • 縁起笹の販売
    縁起笹(えんぎささ)と呼ばれているもので、「枯れても葉の落ちない縁起笹」とされており、いわゆる縁起物。

  • 獅子舞
    周囲の邪気や災いを払うとされている。
    獅子に頭を噛まれると魔除けになり、一年をより良く過ごすことが出来る、と言われている。
    また、愛媛県松山地区は演目が何種類かあり、それぞれがストーリー性に富んでいるというのが特徴。また、獅子の頭は一本角が主流。

参考文献・資料

コメント

Your browser is out-of-date!

Update your browser to view this website correctly. Update my browser now

×