京都造形芸術大学の名称変更についての所感

さて久々の更新です。大凡7ヶ月振りくらいじゃないでしょうか。

今回は、タイトルにも書いてある通り「京都造形芸術大学の名称変更についての所感」について事実を纏めながら書いていこうと思います。

しかし、復帰記事がこれってのはなんとも言えない感じです。

因みに自分此の大学に通ってるので、一言二言言う権利位は有るはずなので書こうと思います。ただ今回はあくまでタイトルの事柄についてだけ書いていこうと思います。個人的には今の大学には色々と思うところはあるのですがそれは追々…。

…まぁ、馬鹿の世迷言だとでも思って聞き流してくれて構いませんので暫しの間お付き合いを。

発端

 現在学生側で確認できるこの件に関する最初のソースは2019/8/27 19:16付の、『開学30周年「グランドデザイン2030」と「京都芸術大学」への名称変更(2020年4月1日〜)について』という大学からのメールでした。

要するに学生側から見れば確実に「寝耳に水」でしたね。

メール本文から該当部分を引用すると、

 在学生のみなさんへ
 本日(8月27日)にみなさんの代表である代議員の方々にご案内いたしましたが、
このたび、学校法人瓜生山学園 京都造形芸術大学は、2021年4月1日に大学開学30周年を迎えるにあたり、本学の理念である「京都文藝復興」「藝術立国」の実現に向けた将来構想「グランドデザイン2030」を策定いたしました。
「GRAND DESIGN2030」(https://www.kyoto-art.ac.jp/info/pdf/granddesign2030.pdf )をご一読ください。

 1991年に4年制大学を開学した当時入学者150人でスタートした本学は、2019年現在、通学課程、通信教育課程、学部、大学院合わせて11,392人の日本最多の学生を擁する芸術大学に成長しています。急激に変化する社会に向けて、本学が担うべき役割とは何かを問い続け、「京都文藝復興」「藝術立国」の理念の実現を目指し、さらなる教育・研究・社会貢献活動に取り組んでいきたいと考えております。

 また、それに伴い、本学のこれまでの歩みと、現状の学問領域、将来構想(グランドデザイン2030)の3点を踏まえて、その教育内容や活動に相応しい大学名称として、2020年4月1日より「京都芸術大学」への名称変更の手続きを行い、文部科学省からその承認を得られました。

 1977年に開学した短期大学では、「京都芸術短期大学」という名称を用いておりました。1991年の4年制大学設置申請時には、「京都芸術短期大学」という名称に沿って「京都芸術大学」という名称で大学設置申請を行うことも検討しておりました。しかし、当時の大学の学科構成は、「芸術学科」「美術科」「デザイン科」の3学科と限定されたものであり、大学名称についても、専門分野との適合性の観点から「造形芸術」の定義を用い、「京都造形芸術大学」の名称で設置認可を得ました。開学後は、教育研究の充実を図り、学部学科の新増設を進めて今日に至っており、現在は学科数も17学科に増え、「造形芸術」の枠を超えた、より広義の「芸術」領域の教育・研究に取り組んでいます。「Art」の語源であるラテン語の「Ars」が意味する、「人が生きる術」すべてを表す「芸術」をその名に抱き、「人間とは何か」を問い続け、この京都から「藝術立国」の実現に向けた取り組みを推進してまいります。その活動を在学生のみなさんと一緒に取り組めることを、楽しみにしています。

「GRAND DESIGN2030」(https://www.kyoto-art.ac.jp/info/pdf/granddesign2030.pdf

なお、保護者・学費支弁者のみなさまには、後日大学より本件に関するご案内を郵送いたします。保護者・学費支弁者のみなさまにもあわせて、ご案内ください。

■本件に対するお問い合わせ

京都造形芸術大学 教学支援1課
TEL:075-791-9165 E-mail:gakusei@office.kyoto-art.ac.jp

※本学は、略称としては、「瓜芸(うりげい)」「KUA(ケーユーエー)」を使用し、「京芸」「京都芸大」は使用いたしません。

簡潔に言うと、「大学の名前、勝手に変えるねっ☆」ってことを訳の分からない御託で装飾して格好だけ一丁前に付けた「初手」としては余りにも最悪の一手が、現在確認出来る最初の情報です。
因みに、殆ど同じ内容が『開学30周年「グランドデザイン2030」と「京都芸術大学」への名称変更(2020年4月1日~)について』(https://www.kyoto-art.ac.jp/student/life/news/190827-3270/) でも見られます。

反響

 事のあった2019/8/27の翌日、2019/8/28に京都市長は「京都造形芸術大学の名称変更についての市長コメント」(https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000256990.html) を発表し、

 京都造形芸術大学は,「京都文藝復興」「藝術立国」との建学の理念のもと「京都芸術短期大学」として開学され,「京都造形芸術大学」へ進展,そして大学院の設置と,目覚ましい発展を遂げられ,幅広い分野で活躍する芸術家を輩出し,文化芸術の振興に貢献してこられ,本市とも連携を深めてまいりました。

 そして,京都市立芸術大学は,明治維新で都市存亡の危機に直面した京都において,先人たちの熱意により我が国初の画学校として設立され,以降,時代を先導する優れた芸術家を数多く輩出してきました。

 京都市立芸術大学と京都造形芸術大学は,京都の芸術系大学として,それぞれ確固たる理念と伝統を持つ素晴らしい大学です。これまで,ともに切磋琢磨し,他の芸術系大学とともに芸術の発展と担い手の育成に取り組み,京都の,さらには日本・世界の文化芸術の発展に貢献してきました。

 京都市立芸術大学の卒業生は,大学名に誇りを持って活躍し,世界で「京都芸大」「京芸」卒業生としての活動実績を積んでいます。大学の名称は,大学に関わってきた,そして大学を支えていただいている多くの市民や関係者の方々の想いが込められている非常に大切なものです。

 京都造形芸術大学の名称を「京都芸術大学」に変更されると聞き,驚愕しています。大学が新たに名称を変更される場合は,既存の大学と混同しないよう,明確に識別できるようにすべきであります。

 京都造形芸術大学におかれては,今一度新しい名称を再考され,両大学が共に伝統と文化を継承し,発展していくことを望みます。

 なお,京都市立芸術大学は,教育方針をはじめ,自主的・自律的な運営・決定を行う大学法人であり,今後については,京都市立芸術大学において適切に対応されることと考えます。本市は,大学及び卒業生の意志を尊重してまいります。

と述べています。個人的には反論する余地が無い程筋の通った文言だと思います。

また、京都市長と同じ日に公立大学法人京都市立芸術大学は「【令和元年8月28日付】京都造形芸術大学の名称変更についての理事長コメント」(https://www.kcua.ac.jp/20190828_comment/) において次のように述べています。

京都造形芸術大学が「京都芸術大学」に名称変更されることについて,当該名称は本学の名称や一般に通用している略称と同一あるいは酷似しているため,受験生や本学の学生・卒業生をはじめ,市民の皆様や芸術を愛する幅広い人々に大きな混乱を招くと大変危惧しております。

そのような事態にならないよう,京都造形芸術大学に対しては名称変更を中止再考されるようお願いしてまいりましたが,その願いを聞き届けていただけなかったことは誠に残念です。

本学は,京都にある芸術大学として「京芸」「京都芸大」の名称で親しんでいただいており,大学の名称・略称は,市民の皆様に育んでいただいた大切な財産であり,誇りです。

その大切な財産を守るため,また,多くの関係者の皆様に無用の混乱を招くことのないよう,引き続き,京都造形芸術大学との協議を続けてまいりますが,当事者間では解決の方向性を見出し難いと判断した場合は,法的措置も含めた適切な対応をとってまいります。

この文章を初めて読んだ時、納得しつつも「うちの大学前々からそんな訳の分からない事を打診してたのか」という事に衝撃を受け、本当に申し訳なく思うと同時に非常に情けなくなりました。

進展

 さて突然の発表後、色々と内外から賛否両論が飛び交ったみたいです。それはまぁそうでしょう。ということで個人的には京都造形芸術大学側が「初手」で確実に悪手を打っていたので二手目はどうくるかなと楽しみにしていました。
 それから京都造形芸術大学側が動いたのは、最初の発表から3日後の2019/8/30に発表した、以下に引用する『【2019年8月30日】開学30周年「グランドデザイン2030」についての学長コメント』(https://www.kyoto-art.ac.jp/student/life/news/190830-3279/) というものでした。

在学生の皆さまへ

この度、本学の開学30周年記念事業として発表した「グランドデザイン2030」の中にある「京都芸術大学」への名称変更(2020年4月1月より)について、新聞、テレビなどの報道、SNS上でさまざまな形で情報が発信されました。それらについて、多くの皆さんからご意見をいただき、またネット上でのご発言を読ませていただきました。大きな関心を示していただいたことに深く感謝いたしております。

私は、国立、公立、私立の大学の運営や経営にそれぞれに関わってきました。大学について考えるとき、それぞれの特徴を大切にして生かすことを考えてきました。国立大学は、予算の削減で危機に立たされています。公立大学は自治体の方針で特徴が決まります。私立大学は、私人の寄附財産等により設立されたものであることに伴い、その運営を自律的に行いますが、高等教育を担うので国の交付金が支出されます。

また、各私立大学には、多様化する国民のニーズに応じた特色ある教育研究の推進が求められており、それぞれが建学の精神に基づく個性豊かな活動を積極的に展開しています。つまり、私立大学においては、「建学の精神(理念)」が非常に重要な意味を持ちます。

2013年、私が京都造形芸術大学の学長に就任した直後、「藝術立国之碑」が学園内に建立されました。創立者である徳山詳直は「芸術を学んだ学生の力で人類の平和に貢献する」ことをめざしこの学園を作りました。この理念は「藝術立国」と「京都文藝復興」に残されており、「京都」と「芸術」というキーワードは、本学のさまざまな活動に反映されています。

1977年に「京都芸術短期大学」で開学した本学は、1991年の4年制大学設置申請時には、「京都芸術短期大学」という名称に沿って「京都芸術大学」という名称で大学設置申請を行うことも検討しておりました。1991年当時の大学の学科構成は、「芸術学科」「美術科」「デザイン科」の3学科と限定されたものでしたが、現在は学科数も17学科に増え、美術工芸やデザイン領域はもとより、マンガ、アートプロデュース、文芸表現、こども芸術、映画、舞台芸術、歴史遺産、芸術教養などより広義の「芸術」領域の教育・研究に、多くの学生の皆さんが取り組んでいます。今回の名称変更は、このような、現在及び将来の本学の教育・研究活動に相応しい名称とすることを目的として、「京都芸術大学」の名称に変更するものです。

本学は、2019年6月20日に文部科学省より、名称変更に係る事前相談の結果について「名称変更の手続きで可能」との伝達を受けてから、直ちに京都市及び京都市立芸術大学に対して面談をお願いしました。7月9日に京都市役所を訪れ説明を行い、7月12日に京都市立芸術大学へ説明に伺いました。その後も繰り返し面談や書簡にて名称変更の経緯や趣旨等についてご説明させていただいていますが、残念ながら未だご理解をいただけていない状況です。本学としては、もとより無用な法的紛争を望むものではなく、引き続き説明の機会を設けさせていただきたいと考えております。

学生の皆さんから、略称などについて、さまざまなご意見があることに感謝しております。この点については、皆さんと対話しながらより良いアイディアを一緒に考えていければと考えています。

正直に言います。初めてこれを読んだ時、「此奴頭イかれてるのか?」というのが感想でした。
まず第一にいらない情報が多すぎる。別に此方サイドとしては「どうでもいい」情報が8割方を占めている。第二に自分に非があるとは一切考えていない点。此れについては『「アホ」かな?』と首を傾げましたね。何の相談もなく「名前を変える」って言い出したんだから此方が譲る足は無いが仮に譲歩したとしても、100%悪いだろと。第三に最後の一節が本当にクソ。簡単に言ってしまえば要は学生側に対しての「略称、採用するよ〜」なんていう名誉を隠れ蓑にした『アイデアの「搾取」』を行おうとしている、とも受け取ることが可能です。

要するにそうやって受け取られてしまっても「おかしく無い」文書を京都造形芸術大学は「二手目」に選んだわけです。

個人的には、「さぁ、面白くなってまいりました!」なんて思いつつも「本気なら洒落にならないな」なんて思っていた矢先、公立大学法人京都市立芸術大学がその日のうちに以下に引用する、「【令和元年8月30日付】京都造形芸術大学の名称変更についての理事長コメント」(https://www.kcua.ac.jp/20190830_comment/) という文書を発表しました。

京都造形芸術大学が2020年4月1日から大学の名称を「京都芸術大学」に名称変更されることについて,当該名称は本学の名称や一般的に通用している略称と同一あるいは酷似しているため,受験生や本学の学生・卒業生をはじめ,市民の皆様や芸術を愛する幅広い人々に大きな混乱を招くと危惧し,再三,中止再考をお願いしてまいりました。

こうした中,京都造形芸術大学が8月27日に名称変更を正式に発表されましたので,私どもは,大変困惑しております。

マスコミ報道や,本学及び京都造形芸術大学の在学生・卒業生をはじめとする多くの方々の反応を見るにつけ,予想以上の混乱が生じている状況がうかがい知れます。

つきましては,「京都芸術大学」への名称変更について,中止再考されることを強く願い,本日,学校法人瓜生山学園に対し,改めて文書で申入れさせていただきました。

これを読んだ時、本当に優しいなぁと思いました。だってまだ選択の余地を残してあげてるんですから。あんな訳の分からないことを宣った文書を読んだ上でこの対処は流石だなぁと感心しました。
まぁ、確実に自分なら「頭のおかしな奴だ」ってなって「諦める」か「徹底抗戦」かの二択ですね。(結果的には京都市立芸術大学から訴えられて「後者」になるんですけどね。)

勃発

 さて一学生側としては「一体どうなるねん」と思いつつも、少しこのてんやわんやに乗じて大学側が日頃の少し調子に乗った感じから各方面に怒られて襟を正せばなぁ、なんて思ってました。
それから3日後の2019/9/2に公立大学法人京都市立芸術大学が以下に引用する「【令和元年9月2日付】京都造形芸術大学の名称変更についての理事長コメント」(https://www.kcua.ac.jp/20190902_comment/) という文書を発表しました。

公立大学法人京都市立芸術大学では,本日(9月2日),学校法人瓜生山学園に対し,同学園が設置する大学の名称として『京都芸術大学』の名称の使用を差止める訴訟の訴状を大阪地方裁判所に提出いたしました。

京都造形芸術大学が2020年4月1日から大学の名称を「京都芸術大学」に名称変更されることにつきましては,当該名称は本学の名称や一般的に通用している略称と同一あるいは酷似しているため,受験生や本学の在学生・卒業生をはじめ,市民の皆様や芸術を愛する幅広い人々に大きな混乱を招くと危惧し,再三,中止再考をお願いしてまいりました。

こうしたなか,京都造形芸術大学が8月27日に名称変更を正式に発表され,本学及び京都造形芸術大学の在学生・卒業生をはじめとする多くの方々のなかで,予想以上の混乱が生じている状況です。

さらに,8月30日付けで京都造形芸術大学のホームページに発表されました『開学30周年「グランドデザイン2030」についての学長コメント』において,「京都芸術大学の名称に変更する」という従来からのご主張を維持されておられることを確認し,やむなく訴状を提出することにいたしました。

本学及び京都造形芸術大学の在学生や卒業生,両大学を目指して受験される皆様,関係するすべての方々の混乱を最小のものにするために,明確な司法判断を求めたいと思います。

なお,京都造形芸術大学との協議の門戸は引き続き開いたままにしています。どうかご理解いただきますようよろしくお願いいたします。

はい、お見事公立大学法人京都市立芸術大学に訴えられました。当然の結果だと思います。どうせ水面下でも訳の分からないことを宣って、相手方に相当な迷惑を掛けたんだろなぁと言う事が伺えて非常に申し訳なく思いました。

また、同日に先程の文書とは別に公立大学法人京都市立芸術大学は以下に引用する「訴訟の提起について」(https://www.kcua.ac.jp/20190902_news/) という文書を発表しました。

公立大学法人京都市立芸術大学は,下記の通り学校法人瓜生山学園に対しまして,訴訟を提起しましたので,お知らせいたします。

  1. 訴訟の提起を行った裁判所及び年月日
    (1)裁判所  大阪地方裁判所
    (2)提起日  令和元年9月2日
  2. 当該訴訟を提起した相手方(被告)
    (1)名称   学校法人瓜生山学園
    (2)所在地  京都市左京区北白川瓜生山2番地116号
    (3)代表者  理事長 德山 豊
  3. 当該訴訟に至った経緯
    相手方が,その運営する「京都造形芸術大学」の名称を,令和2年4月以降,京都市立芸術大学の名称と類似する名称である「京都芸術大学」に変更することとしたため(同年8月27日の相手方発表),大学運営上の混乱を回避するため,やむなく提訴することになった。
  4. 訴訟の内容
    「京都芸術大学」の名称を使用することの差し止め

まぁ要するに京都造形芸術大学を相手取って訴訟を起こしましたよ、という証拠の文書ですね。正直なところ公共的な立場である「大学」という施設がここまで強硬的な手段に出ると言う事は通常は考えられないことです。

さて、京都造形芸術大学はその日の13:30には「【2019年9月2日】京都市立芸術大学からの申し入れ事項に対する回答」(https://www.kyoto-art.ac.jp/news/info/469) 、16:29には「【2019年9月2日】京都市立芸術大学の訴状の提出に対する本学のコメントについて」(https://www.kyoto-art.ac.jp/news/info/470) というそれぞれ以下に引用する文書を発表しました。

  • 【2019年9月2日】京都市立芸術大学からの申し入れ事項に対する回答

    皆さまへ
     この度、本学の開学30周年記念事業として発表した「グランドデザイン2030」の中にある「京都芸術大学」への名称変更(2020年4月1月より)について、新聞、テレビなどの報道、SNS上でさまざまな形で情報が発信されました。それらについて、多くの皆さんからご意見をいただき、またネット上でのご発言を読ませていただきました。大きな関心を示していただいたことに深く感謝いたしております。

    京都市立芸術大学より
    【令和元年8月30日付】京都造形芸術大学の名称変更についての理事長コメント
    https://www.kcua.ac.jp/20190830_comment/
    にありましたとおり、令和元年8月30日付で、本学の名称変更に対する申し入れの書面をご送付いただきました(2019年8月31日着)
    2019年8月30日付の本学ホームページにて学長コメントで発表させていただいたとおり、本学としては、もとより無用な法的紛争を望むものではなく、引き続き説明の機会を設けさせていただきたいと考えております。
    そのため、その「申入れ」を受け、本学より京都市立芸術大学宛に「本学は、現状の状況にも鑑みて、貴学と忌憚のないお話をさせていただきたいと考えております。つきましては、別途ご面談の日時等を調整させていただきたく、宜しくお願い申し上げます」との内容の書面を、FAXにて8月30日付で、同内容を郵送にて8月31日付でお送りさせていただいております。

  • 【2019年9月2日】京都市立芸術大学の訴状の提出に対する本学のコメントについて

     本日(9月2日)14時頃、公立大学法人京都市立芸術大学が、本学に対して「京都芸術大学」の名称の使用を差し止める訴訟を提起した旨のリリースを出しております。
     8月30日(金)17時55分に、京都市立芸術大学から、「京都芸術大学」への名称変更の中止再考の要請があったのに対し、本学は、同日中に、京都市立芸術大学に対して、忌憚のないお話をさせていただきたいので、面談の日程等を調整させていただきたい旨ご連絡しておりました。それにもかかわらず、京都市立芸術大学が、本学の申し入れに対して何ら返答することもないまま、その直後に突如、訴訟提起のリリースをされたことに大変驚いております。
     また、京都市立芸術大学は、リリースの中で、「京都造形芸術大学との協議の門戸は引き続き開いたままにしています」と述べておられますが、上記のとおり、京都市立芸術大学は、本学が話し合いを申し入れていたところ、一方的に訴訟を提起した旨を発表したものですので、本学としては京都市立芸術大学の真意を測りかねております。
     まだ訴状を受領しておらず、京都市立芸術大学の請求や主張の内容は分かりませんが、本学としては、今回の名称変更について法的にも一切問題はないと考えておりますので、裁判に対しては粛々と対応して参ります。裁判所にも本学の考えをご理解いただけるものと考えております。

うーん、先人の方々は偉大ですね。だってこの状況をたった一言で一蹴しつつ全てを表せる言葉を発明してくれてるんですから。…言うなれば「片腹痛いわ」と言う事なんですけどね(白目)
しかし、本当に一体どんな脳味噌が付いてたら

一方的に訴訟を提起した旨を発表したものですので、本学としては京都市立芸術大学の真意を測りかねております

とか

裁判所にも本学の考えをご理解いただけるものと考えております

なんて上から目線の言葉が湯水のごとく次から次へと出てくるんでしょうね。或る意味で芸術ですね。

所感

 さて、今までのことを整理して書いていくと。

  • 或る日突然、京都造形芸術大学が「大学の名称変更するわ!」と発表。
  • 翌日に京都市長と京都市立芸術大学がコメントでやんわり「名称変更、止めて。」と提案。
  • 最初の発表から3日後に京都造形芸術大学が「いや名称変更の理由について説明すれば、皆分かってくれる筈や!」と強行突破を実施。
  • さらにその3日後に京都市立芸術大学が「いよいよ我慢ならねぇわ。人の話を聞け。」と京都造形芸術大学を提訴。

というのが全体のざっくりした流れです。

ではまず、京都造形芸術大学の何が「悪手」だったかを箇条書きで書いていこうと思います。

  • 関係者サイドに何一つのアナウンスも無く、名称変更は「突然の発表」だったこと。
  • 突然の発表の内容が「不可逆的行為」についてだったこと。
  • 「二手目」にあたる『【2019年8月30日】開学30周年「グランドデザイン2030」についての学長コメント』が確実に「自分には何一つ落ち度はない」と言っているのと変わらないものだったこと。

とまぁ確実に危機管理に失敗した上に恥の上に恥を塗り重ねただけの無駄ムーブという、「悪手のお手本」の様な動きだった訳です。

 色々言いたいことはありますが、まず第一に言うとしたら「通すべき筋を通していない」と言うことでしょうか。どうも職員間でも「寝耳に水」状態だったらしく(詳細は此方の議事録:『2019年9月8日京都造形芸術大学「グランドデザイン2030についての対話および検討会」議事録』https://writening.net/page?DvNpck に譲ります。)、所謂「上」の決定だった様です。と言う事で、学生側にも職員側にも事前の通達は何一つなく、「名称変更」の意思決定は行われたことになります。

要するに何が言いたいか。何でそんなに「重要」な決定を相談なしで行うのか?と言うことです。
別に名称を仮に変更するにしてもアンケートを事前に取るだの何だのをやると言うのは選択肢としてあっただろ、と言うこともありますし何より、そんな発表の仕方をしたらこの様な反響が返ってくるのは目に見えていたのに何故強行したのかということです。まぁ普通に考えてこう言う事柄はまず「身内」で徹底的に議論をする事が大前提だと思います。

第二にその決定内容が「不可逆的行為」だったと言うことです。まず名称を変えるにしても何故このタイミングなのか。そして何故謂わば「名は体を表す」と言う様に在学生や卒業生にとっては「看板」である「名称」を変えるのか。色々と疑問は尽きませんが、「何故変えるのか」と言うことについての非常に具体的で中身の有る説明はその他のことに目を瞑ったとしても一番欲しいところです。特に就活生の方なんかは面接で「名称変更についてどう思われますか?」なんてすでに聞かれたと言うことも耳にしました。要はもう「実害」は発生している、と言うことです。

そして第三に所謂「二手目」でどうして、「私に非は何一つありませんよ」と言う様なスタンスを取ってしまったのかと言うことです。此処が正しく紛糾している状況(火)に「油」を注いだ行為と言えるでしょうか。まぁ初手は確実に最悪だったので此処では多少なりともリカバリーを狙ってフォローすべきだったのでしょう。しかし、京都造形芸術大学がとったアクションはそれとは真逆の行為でした。正直これがなければ「訴訟」されるだなんて現在の状況には至らなかったのでは無いかと多少なりとも推測しています。

 さて、ここまで色々時系列を追って個人的に思ったことや事実のソースを引用しながらつらつらと書いてきました。
ただ一つ最後に言いたいのは、「支払った学費が曲がりなりにも『係争費用』に消えてしまうのか」と言うことです。自分としてはこんなくだらない一銭にもならない、と言うかむしろ金を無為に減らす事柄に学費を使うよりも、少しでもいいから学生の「学び」の質に対して投資するのが本来の「大学」と言うもののあり方なのでは無いかな、と思います。(もちろん、自分のことを棚に上げて「裁判なんて止めましょうよ〜」なんて言い出したらそれこそ裁判で徹底的に潰された方が身の程を知る事が出来て非常に良いと思います。)

以上が今回の「京都造形芸術大学の名称変更についての所感」でした。

# 京都

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